患者さんから痛くないとお声の多い「親知らず」の抜歯方法!痛い・腫れるはもう間違い!?
親知らずを痛みなく抜く方法・・・あるんです!
歯を抜くことは痛い!!麻酔をしても麻酔が切れたら痛い、親知らず抜いて激痛で友達が苦しんでいた、顔の輪郭かわるくらい腫れていたetc・・・親知らずを痛みなく抜く治療方法なんて、信じてもらえないと思います。
痛くない抜歯の方法はあります。
歯は、根っこの先っぽに行くに従って細くなっています。ですから引っ張れば、抜けます。でも引っこ抜くのには力が必要です。
歯を抜くというとペンチみたいなゴツい器具で挟んで抜くと思われる方が大半でしょう。ましてや奥歯なんてどうやって抜くの?口を大きく開けたところで・・・とくに歯を抜いた経験がない人なら想像つかないですよね。
抜歯にはテコの原理を利用するのです。そしてへーベル(エレベーター)と呼ばれる器具を使います。実は、ヘーベルという名前は英語のエレベーターのドイツ語です。エレベーターはご存知ビルにある昇降機ですが、もともとの意味は上に上げるという意味です。日本語の梃子(てこ)は英語だとレバーです。エレベーターもレバーも少し似ていますね。共に、上に上げるという意味のラテン語が元です。歯を抜くということの理解において、ここがポイントです。抜くというと引っこ抜くことを想像されると思いますが「上にあげる」ことが大切なのです。
ヘーベルには色々種類がありますが、私が愛用しているマイ・ヘーベルは、
株式会社YDMのD型#NM2、通称、日大型ヘーベルです。
これで、どうやって・・・?不思議ですよね。金属製の耳かきにしかみえないですよね?
簡単に説明しますとヘーベルを歯と骨の間に入れます。そこで、てこの原理を利用して押し上げるのです。潜っている歯は、ヘーベルを使って割ります。割ったかけらをを少しずつ取り出し、結果的には歯を抜くことになります。もっと細かい詳しい使い方は、なるべく早く、かつ、傷口を小さくする事です。傷口が小さければ、当然ながらその分周りの組織へのダメージも少なくなります。ダメージが少なければ、傷の治りも早く痛みも最小限に抑える事が可能になります。ただし、それだけでは、本当に抜歯後の痛みを取る事は難しいかもしれません。当院では、抜歯後にその部位に薬を入れる様にしています。その薬は、場合によっては、ステロイド剤であったり、リドカイン入りの生体材料であったりと、抜歯後の傷口にあった材料を使います。何も薬も使わずに痛くなく治すのは、正直難しいと思います。
ただ、皆様に申し上げたいのはこのへーベル1本だけで抜歯自体は完了できるということです。
私が、このへーベルを長年愛用している理由は、先端部がスプーン状で薄く幅が広めになため、歯と骨の隙間に入れやすいこと、そして持ちやすいためです。この私自身コダワリの1本を使いこなすことで、ほぼ、すべての歯に対応できてしまいます。
これは、あくまで私自身がベストと思っている抜歯方法です。歯科医師によって方法は様々かもしれませんが、間違いなくいえることは、歯科医師は医師であり、かつ職人なのです。
どんなに薬や医療機器が進歩しても、手を使った技術は絶対に必要ですし、せっかくの最新機器も使いこなすことはできません。
腕の良い歯医者えらびの本当のポイントは、見た目や設備ではなく、手先がいかに器用な人かどうかかもしれませんが、それは実際に治療を受けてみないとわからないですよね。
歯を抜いたあとに腫れて痛むのが怖い・・・
歯を抜いた後が怖い方は多いようですね。きちんと丁寧に治療すれば、腫れることも痛むこともありません。(勿論、外科処置であるため鎮痛消炎剤や、抗生物質は飲んでいただきます。)具体的な抜歯後の処置ですが、痛み止めのお薬をスポンゼルという止血用のゼラチンスポンジに浸みこませて傷口に入れます。傷口に入れるお薬は、抜いた部位により、変える様にしています。コロナウィルスで有効であったステロイド剤であったり、リドカイン入りの生体材料であったり、それぞれ傷口の状態にあった材料を選んでいきます。なお、麻酔が効いているので施術当日は薬も服用しているのであまり痛みはありません。(完全とはいきませんが。)もちろん麻酔が切れてしまったら、痛むこともあります。それを防ぐために、当院では翌日、翌々日に抜歯した部分のケア(消毒、殺菌)もバッチリ行ないます。当院で歯を抜いた患者さんで、腫れや痛みが治まらないといった方は少ないと思います。。追加ですが、勿論傷口ですので、痛み止めや抗生物質は、必ず服用してもらいます。(これは、やはり服用しないと痛みを軽減する事は難しいです。)
なお歯茎(歯肉)の切開が必要な抜歯の場合は、糸で傷口を縫合する場合があります。縫合に使用した糸は抜歯してから1週間〜2週間で抜糸(ばっしと混同しないように、ばついとと呼ぶことが多いです)します。抜糸については、通常の糸4-0の場合は、1週間後、細い5-0の糸の場合は、テルプラグも挿入しているので2週間後の期間をもらっています。
親知らずの抜歯についてご説明します。
痛みなく歯を抜く方法についてご説明しました。親知らずを抜く場合も、基本的な方法は同じです。ただし、奥歯なだけに高度なテクニックが要求されます。具体的には、先ずCTを撮りどういう根っこの形態をしているのか正確に判断する必要があります。根っこの形態や埋まっている方向がわかれば、おのずと抜くべき方向性がわかります。
従って、経験と技術があれば痛みなく奥歯を抜くことができるんですよ!!とお伝えしたいのです。皆様が、歯医者にいく場合、ほとんどが、家の近所、職場の近くにある、という理由で選ばれることでしょう。その際に、痛みなく抜けますか?と事前に質問していただき、行くべきかどうかの判断材料にしてほしいのです。コンビニの数よりも多いと言われる歯科医院。通いやすさ、見た目だけで選んで後悔はしてほしくありませんし、何よりも「歯医者=痛い、怖い、嫌い」といったイメージを持っていただきたくないのです。
ただ、傷口を早く治すのが痛みを取る早期の対応の為、縫うだけでは、正直痛みを取るのが難しい現状があります。スポンゼル以外にテルプラグというコラーゲン製剤があります。保険診療適応外の材料なので、自由診療になってしまいますが、これは、抜歯後の傷口の早期改善に役に立ちます。
また、骨を乾燥させない生体材料や、ステロイド剤も痛みを取るのに有効です。
親不知を抜くことは外科手術を受けることと同じ
親知らずの抜歯は、分類でいえば外科手術です。ですから歯医者さんで行わず紹介された大学病院の口腔外科で行うケースが多いのです。親知らずを抜くとなったら大学病院紹介されたって話よく耳にしませんか?
でも、大学病院に直ぐに回さないで、自分で抜歯を極める事が大事です。そうすれば、抜いたのも判らない様な治療が出来る様になります。このようにはっきりと言いきれるのも、私自身がひたすら技術を磨くことに専念し、多くの経験を経て自信をもって治療に臨むことができるようになった現在(いま)だからこそです。親知らずの抜歯はバッチシ(抜智歯)です、おまかせください(笑)なお、抜歯をする場合の歯医者さん選びのポイントは「口腔外科」を標榜しているかどうかが一つの目安になります。
親知らずの抜歯後の抜糸について。
親知らずの抜歯の際に、縫った、縫わなかった、と体験談は様々だと思います。歯茎に埋もれてしまっている親知らずである埋伏智歯の抜歯は、歯茎(歯肉)の切開が必要です。そのため抜歯後に糸で縫合するのですが、上顎の場合は、当院では特別なお薬を使うので大抵は行ないません。そして上顎は、目や耳、鼻などの重要な器官がある為、血管が多く、その分治りが早いのです。下顎は、どんな場合でも必ず縫います(きっぱり)。
縫合に使う糸について説明します。よく手術で使われる吸収糸は、当院では使いません。吸収糸とは、抜糸の必要がない糸です。生体に吸収されて無くなってしまうタイプの「溶ける糸」です。
何故、吸収糸を使わないかといいますと、強度の問題があるためです。お口の中ですので、食事はもちろんのこと、声を出さないわけにもいきません。そっとしておくことは不可能です。せっかくの縫合が取れてしまっては大変です(特別なお薬が漏れてしまいます!特にテルプラグなど)。
ですので、丈夫な糸が必要不可欠です。傷口への負担を最小限にするために、出来るだけ細い針と細くて丈夫な糸を使用します。具体的には5-0と呼ばれる糸を当院では使用しています。近年ナイロン製の糸もありますが、当院では、絹糸にこだわります。(訳は傷口がはっきりとわかるようにしなければなりません。当然切って外すわけですからね。また、体の中に入れるものです。人工の糸よりも天然の糸のが良いと思いませんか?ナイロンの糸は傷口に食い込みます。抜糸するのに見えなくなる可能性があります。)
傷口の状態にもよりますが、通常では、抜歯してから1週間、歯肉内にテルプラグなどのコラーゲン繊維を使用する場合は、2週間後に抜糸します。糸は、そのまま放置するとバイキンの温床になる可能性がありますので必ず抜糸します(きっぱり)。
抜糸の際の痛みは全くありません。(リドカイン入りの生体材料を塗って使います。)
嫌われても仕方がない。でも患者さんのため…
患者さんの中には、親知らずをそのままにしている方が多く見受けられます。痛くなければ当たり前のこと。真っ直ぐ縦方向に生えている場合は、そのままでも良いでしょう。しかし、先ほども説明したように、親知らずによる痛みは、隣、またはその隣の奥歯に現れることが多いです。親知らず自体は痛くなく、奥歯が痛いから歯医者さんに来ました、というケースですね。
当院にこられる患者さんの場合、まずレントゲン写真を撮り、痛みの原因は虫歯ではなく親知らずが原因ですよ、と説明しますと納得はしてくれますが・・・歯を抜きたいとは言ってません。私は、歯医者さんなので、何とか原因を取り除いてあげたいので、親知らずの抜歯を提案するのですが、歯を抜く、しかも生え方が悪いだけ、ということですので抵抗感あるのは当然ですね。
ただ、歯は普通は抜きたくないものですし、私自身も歯は抜かずに残してあげるべきいう強い信念をもっています。ですが、親知らずだけは別なのです。こればっかりは仕方がありません。虫歯や歯周病と関係なく、生え方によるんですから・・・人間の体でいうと不必要なものかもしれないけどみんなもっているもの、例えば男性の乳首、あとは盲腸と同じなのだと思います。
早い話、嫌われますよね。歯医者にいったら歯を抜かれた、ということです。これはいくら痛みの少ない抜き方をしたとしても、やっぱり心理的にはいいものではないです。それはよくわかるのです。ですから、大学病院に行って貰いたい気持ちも正直あったりするのですが、ここは腕の見せどころ!私は、その場では嫌われても、将来的には患者さんにとって良いこと、そして結果的に患者さんとの信頼関係が深まってくれると信じています。
でも、やっぱり嫌われ役はつらいです。できれば、好かれたいですよ(笑)
このブログ記事を読まれて、親知らずを抜くことをお願いされたら、歯医者冥利につきます。
ただ、1点、気に留めていただきたいことがあります。
それは、ここで述べました痛くない抜歯治療は、保険適応外の材料を使用するので、費用が多少多くかかってしまうということ。精密かつ確実な治療にはマイクロスコープは欠かせませんし、機動性の高いルーペも併用する場合もあります。マイクロスコープを使った治療も必要になります。
また、下の親知らず抜歯に関しては、CTも必要な場合が多くなるのも現状です。
勿論、全てが保険診療であれば、なお良いのですが・・・患者さんの負担が少なくてすみますので、町の歯医者としてはそうしたいのですが、法律に逆らうことはできません。そこだけは、どうぞ、ご理解ください。
親知らずで利用するマイクロスコープとは?
マイクロスコープとは、歯医者の施術時に利用する顕微鏡です。
拡大倍率によってそれぞれ、対応する能力を秘めた医療機器で、実は東京でも数院でしか利用できない大変高度なものです。
マイクロスコープとルーペを使用することで、より細かな施術が可能になります。
また、初めて来られた患者様はみなさん驚かれますが、当院では施術の内容を撮影しています。
撮影することで、後から施術をみることができるだけではなく、前回との状態を比較しながら一緒に撮影した動画を確認することでより安心して施術を受けていただけると大変好評です。
保険診療にはそういった項目がないので、大方の場合は、残念ながら自由診療にもなります。
マイクロスコープで記録することでより安心して術後も対応が可能です
当院では、抜いた歯は、勿論ご自身にお渡ししております。(貴重な再生資源になるかもです。しかしながら約24時間以内に凍結保存しないとその後再利用は難しいのが現状です。)
また、抜歯後、止血した状態と傷口をマイクロスコープである程度、拡大して記録しておきます。
翌日の消毒時には、その状態の撮影と昨日からの傷口の変化、抜糸と呼ばれる糸取り時にも傷口の変化の撮影と前回との比較を患者さんに確認してもらっています。
難しかった親知らず抜歯では、1か月程、経過観察する場合もあります。
それらは、全て撮影の記録して残しておきます。
親知らずを痛みなく抜くのにかかる費用について
歯を抜く場合の治療費については、当院のウェブサイトの費用例のページをご覧下さい。自由診療(保険適用外)の費用例を2種類説明しています。
親知らずと口臭の関係
誰もが気になるお口の臭い……実は、親知らずと口臭は深い関係があります。親知らずが臭う、どんなに歯を磨いても口臭が消えない、また、親知らずを抜いた後の口臭がきになる。是非こちらの記事もご覧ください。
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