歯の詰め物が変色したので詰め直しをしたら、もっと変色してしまった場合
高倉歯科マインドクリニックでは、マイクロスコープを使った精密かつ確実な治療を得意としているのですが、マイクロスコープときいてもピンとこないでしょうし、それよりもとにかく治して!痛みを止めて!という方がほとんどです。
今回は、実際の患者さんの治療例をあげて、マイクロスコープがどのように使われているのかを少し解説したいと思います。
詰めものが変色して、詰め直しをしたら余計に削られたあげく更に変色!
数年前に、左上の前歯(1番と2番)の間に小さな虫歯があったので、近所の歯医者さんで治療を受けたそうです。その際、虫歯に沿って大体1.5mmくらいの削り、白い色のCR(コンポジット・レジン)を充填をして治療完了。
それから数年後、CR充填した部分の変色が気になってきたそうです。もちろん経年による多少の変色は避けられません。CR(コンポジットレジン)は樹脂が主成分ですので、時間が経つと変色してしまうのです。数年で黄色っぽく変色しがちです。そして歯自体も年齢によって変化します。たとえ詰め物自体が変色していなくても、歯自体が変色すれば、詰め物が浮いて見えてしまいます。それはさておき、ある程度の変色・違和感は仕方のないことかもしれませんが、前歯ですし、一度気になったら、気にしないほうが難しいでしょう。
そこで、別の歯医者さんでCRの詰め直しをしてもらったところ、なんと歯の見えている部分1/3くらいごっそり削られてしまったのです。
最初はよかったものの、なんと、その後1年もしないうちに今度は真っ茶色に変色してしまいました。最初に削った部分よりも大きく削られた上に詰められたものですから、余計目立つことに。
また別の歯医者さんで詰め直しをしてもらいに行ったところ、「かなり大きく削られてるから、詰め直しをしても色の違いが目立ってすぐ気になっちゃうかもしれない。」と言われ、そのままにすることを薦められたそうです。変色しているだけで、歯に悪影響があるわけでないという視点では確かにそうかもしれません。
ですが、患者さんにとってみれば、最初は、本当に小さな虫歯だったのに…。毎日鏡を見て落ち込んで、何も手につかない状態です。こんな汚い歯に一生悩まされるなんて耐えられない。大きく削った歯医者が憎くて仕方ない!!と。
ごもっともです。
今では、出来る限り歯を抜かない、削らない、という方針の歯医者さんが増えてはきていますが、そうではないところのほうが多いでしょう。これは保険を使う場合、できる治療が限られているためです。
当院では、保険を使った一般的な治療と保険を使わない治療(自由診療)、それぞれ行っています。
今回のケースは、自由診療で行ないました。どのような治療を行ったのか解説します。
変色部位を削り再度詰め直す
とにかく変色部分をなんとかしなければなりません。
どうしても現在変色している部位を削る必要があります。
同時に、なるべくご自身の歯を削らないようにする必要もあります。
出来る限り歯を削らず、変色部位である詰め物を削って、再度詰め直す。通常でしたら、ルーペだけで行えるかもしれませんが、三回目の詰め直しであることと、もう歯を削られたくないという患者さんの思いに応えるために、マイクロスコープで拡大して精密に行なう必要があると判断しました。
マイクロスコープを使用するので保険適用外となり治療費は高くなってしまいますが、治療方針に納得していただけました。
実際に行った治療の流れ
さあ、治療の開始です。
防湿は、簡易防湿で大丈夫でしょう。
削るのは歯ではないのですが、多少違和感を感じる患者さんもいらっしゃいますので、軽く麻酔。
詰め物をきれいに詰める為、歯と歯の間をセパレーターという器具で広げておきます。
患者さんの変色した詰め物のみをなるべく削るため、マイクロスコープで拡大し、見ながら丁寧に、慎重に、細心の注意を払って削っていきます。
この様子は動画として録画しています。
CR充填は、全部剥がさなくても、ボンディングという接着剤を塗り光照射すると、一層はがしただけでも再充填が可能な場合もあります。
色合わせは、マイクロスコープの光、自然光、それらを比較しながら、フローの高い(流れの良い)CR充填材で何層か塗っていく様にします。
この治療にかかる時間は、おおよそ60分ほど。
治療後は、録画撮影した記録を見ていただき、ご自身の歯をなるべく削っていないことをご自身の目で確認していただきました。
無事、治療完了し、ご来院時とは全く違って笑顔を見ることができました。どんなに難しい治療でも、この笑顔のために頑張れるのです。
きちんと仕上げた歯は、一体どこを削ったの?と驚かれることもしばしばです。
数年後、変色が気になってきた時は・・・
また、詰めた部分の変色部分を削り、再充填することになります。
保険診療では、使用できる詰め物の素材が限定されてしまいますが、自由診療であれば耐久性や見た目に拘わることができます。たとえば当院では、白い詰め物でしたら、e-MAXという変色しにくく透明感のある優れた素材の提案もさせていただいております。
e-MAXの場合、どうしても土台となる歯を少し多めに削る必要があります。
ですが、マイクロスコープを使えば、その量を出来る限り抑えることも可能です。
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