ボトックス注射で、歯ぎしりや歯のすり減りを解消できるのか?保険適応なの?を解説します
美容などでも良く耳にするボトックスとは?
ボトックスは、ボツリヌス菌を使用した治療法で、ボツリヌス菌が作り出す外毒素でボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)を使用します。
歴史的には、1989年に、アメリカFDAにて使用承認されました。
日本では、1996年に眼瞼痙攣にて、承認され、2000年に片側顔面痙攣にて承認、以後数々の症状で承認されています。
使用目的は、ボツリヌス菌が産生するボツリヌス毒素を筋肉内に注射し、筋肉の過活動や緊張の改善を図る治療法です。
現在では、歯科治療にも応用されています。
主に、歯科で用いるボツリヌス療法は、肩こり、首こり、頭痛、知覚過敏、歯牙破折、外傷性咬合、くさび状欠損、骨隆起、ブラキシズム、などの症状の緩和に用いられます。
患者さんにおすすめするキッカケは、被せ物が割れる、歯根破折、歯牙破折、広範囲に及ぶ知覚過敏、骨隆起、歯ブラシが良いのに、歯周ポケットがなかなか改善しない、ナイトガードが装着出来ない、肩こり、首こり、頭痛がある。顎関節症がある。など、結構、多岐にわたります。
ボトックスの効果は?
ボトックスを打った周りの組織が、ボツリヌス毒素で、マヒして、筋肉の過活動や緊張の改善を図る治療法です。
具体的にボトックスは、咬筋と呼ばれている場所に打ちます。
ボトックスのボツリヌス毒素の効果で、咬筋は、俗に言う、くいしばりを抑えていきます。
段々、咬筋の活動が弱くなっていき、俗に顎が痩せる、つまりは、顔の部分的痩せに役立つということがわかって来ました。
ボトックスを咬筋にある程度の量を取り込む事により、咬筋の活動や緊張がボツリヌス毒素により、抑制されます。
骨折してギブスした部位が細くなる様に、筋肉は、抑制されると退縮していきます。
退縮すると、当然ですが張り、膨らみも減少していきます。これらにより、張っていた咬筋が小さくなり、その分くいしばりや咬む力も弱くなり、歯の減り、歯の破折など様々な症状が安らいできます。
ほんとにエラがスッキリみえるの?という声を耳にするので・・
エラが張っている。よく聞く言葉ですが、要は、顔が大きく見える(と思っている)ことかと思います。
ボトックスにより、張っていた、咬筋は、少しずつ筋肉が痩せていきます。
という事は、顔がすっきり見える可能性もあります。
ただ、やり過ぎは、勧めません。
一回ボトックスを打ったのなら、およそ半年から1年位、期間を開けた方が望ましいと、私は、考えています。
ボトックスのリスクは、あるの?
ボトックスの致死量は、3,500〜500,000単位で、一回に使用する、歯科での量は、100単位なので、死亡に至るようなリスクはありません。
また、目的以外の筋肉に注射してしまっても数ヶ月すれば、元に戻ります。
ただ、反復治療によって抗毒素耐性が生じる場合がありますので、多く打ちすぎないことは、大事です。つまり、ボトックスの効果が効きにくくなるという事です。
また、痒みや、息苦しさ、動悸、浮腫などの、アレルギー反応が出たら、エピペンという、エピネフリンの注射薬を使用する事で、それが改善出来ます。
ボトックス値段は?そして、保険は適応されるの?
残念な事ですが、ボトックスは、歯科では保険診療適応外になります。
ボトックスの値段は、当院では、特別提供価格の40,000円(税別)にて、提供しています。
ボトックスでの治療はたしかに効果があるのですが、顔の外から打つのでもちろん多少の痛みも生じます。また、過剰な期待もしては、いけません。つまり、ボトックスを打ったら、翌日には、直ぐに効果が出ると言う感じでもありません。
私も実際に試しましたが、だんだんと、顎の咬筋が小さくなって行く感じです。
この、コロナの時代、色々な事を我慢しなければならないので、食いしばりの患者さんは、確実に増えてくると思います。
食いしばり予防の1つの治療法であると私は、思います。
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