口臭について思うこと
全国のサラリーマン約3割の方、また大抵の女性の方々が気になっているともいわれている、「口臭」について話をしたいと思います。
口がくさい。これはもう大方の人々が気になることなのですが、実際にはあまり大っぴらに言える事でもなく、どちらかというと、むしろ他人にも言い辛い事です。
先ず、口臭とは、
「口臭」は単純に口が臭くなっている状態を言いますが、この原因は、大きく3つに分類されると言われています。
1、周りの人が気になる様なレベルの口臭で専門的には真性口臭症といわれています。これには、さらに生理的な口臭と病的な口臭に分類されます。生理的な口臭とは、食品でいえばニンニク、タマネギなどがそうです。嗜好品などではアルコールなどのお酒類、また、お口の清掃不良によるものもあるとされています。また、病的な口臭とは何らかの病気により臭いが発生しているもので、お口の由来のものと、全身疾患由来(例えば、糖尿病など)のものがあります。
お口由来のなかでは、歯周病菌によってつくられる硫化水素やメチルメルカプタンという物質は強烈な匂いを出し、これが本来の口臭の主な原因といわれています。近年、歯周病は国民病ともいわれ、35歳以上の約8割が歯周病になっているといわれています。つまりは、ほとんどの方が多かれ少なかれ口臭があるという事になりますね。
また、放置された虫歯が腐敗菌に感染すると腐敗臭を発生することもあるといわれています。実際に虫歯の腐敗菌の匂いは、何とも言えない臭いです。言葉どうり腐った臭いです。
また、全身疾患由来のものでは糖尿病や、肝硬変、肝癌、尿毒症があるといわれています。(これもまた、個人差があります。)
2、口臭を訴えるが、周りの人が気にし
ない程度の口臭で治療を必要としない程度の仮性口臭症という症状があります。
これは、神経質な方に多いといわれています。実際は、そんなに臭くないのに、口臭があると思ってしまうのです。
自分の、手で抑えてはぁ~はぁ~やられている方など、疑わしいですね。
3、口臭ではないが真性口臭症や仮性口臭症の治療では改善できないものをいいます。
判りやすく言うと、体臭みたいな状態です。
これは、臭いでいうとくさいと感じる人もいますが、かぐわしい臭いと思う方もいると思います。
そこで、匂いとは何か?
ところで、みなさんは「匂い」はどの様に感じているかご存知ですか?
匂いは五感( 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)のうちの嗅覚というもので認識しています。「匂い」はとても小さな物質なのです。この物質が鼻の穴の天井にある嗅上皮といわれる粘膜に付着し、匂いを識別する嗅覚受容体というセンサーにくっつくと、電気信号に変換され脳が匂いを認識します。このセンサーは特定の匂いしか認識せず、鍵( 匂い)と鍵穴( センサー)の関係となっており決まった匂いしか認識しないようになっています。ひとでは約400種類存在するといわれています。すなわち色々と臭いがあるわけです。
専門的には、かなり難しいですね。
また、匂いの強さを感じとるセンサーも存在し、この組み合わせで多種多様の匂いを認識しています。
<口臭は自分では気付かない?>
自分の体で起きていることなのに、臭いが気づくことが難しいのは何故でしょうか?人間は色々なことを感じとることができますが、同じ刺激が続くと慣れてきます。例えば、暗いところから明るいところへ移動したとき、はじめは良く見えませんが段々段々と明るさになれてきます。光という刺激への慣れがおきるのです。これを順応といい、同じことが嗅覚にでもおこります。長い間口臭による刺激を受け続けると鼻が順応をおこし、自分では気づかない口臭になってしまいます。代表的なものは、喫煙などがそうです。吸っている本人は解かりませんが、吸わない方では、相当匂います。
簡単に自分で調べるにはどうしたら良いかといいますと、両手で顔をおおって吐いた息を嗅ぐ方法や、コップや袋に吐いた息を貯めて匂いを嗅ぐやり方で調べることができます。ただ、起床直後や生理中は口臭が起きやすいですし、常時口臭があるかたは自分の口臭を認識しずらいですし、神経質な方もいらっしゃいますのでまずは歯科医院での診断を受けてから治療を行うことが大切です。
口臭を予防しましょう。
いくつかある口臭のなかで歯科医院で治療できる口臭は、1の真性口臭症といわれるもので、これは急にかかるものではありません。この口臭を引き起こす原因はお口の中の汚れや歯周病菌や放置した虫歯の中に生息する細菌達です。つまり、虫歯を治し、歯みがきをキチンと行うことでほとんどの口臭は改善できるはずです
。
少なくとも半年に一度の定期健診と歯のお掃除が、口臭対策に効果的といわれています。
また、舌についた汚れも口臭になります。
舌は、過去には舌を磨くブラシなどがありましたが、あまり磨きすぎると傷になってしまうこともあり、口内炎が出来たり逆効果という場合もあります。
現在では、舌の汚れの除去は口腔用スポンジが効果があると私は、思います。水や消毒液を含ませて柔らかくなったスポンジで軽く汚れを取る様にやさしくなでてあげてください。
舌は、柔らかい組織なので、それで汚れはある程度汚れは取れると思います。
特に、高齢者の方は、きちんと舌を掃除した方が良いです。(肺炎などの細菌感染の予防にもなります。)
食事の種類については、生理的口臭の食品の代表的なニンニクやニラ、ネギなどといった臭いの強い食品などを食べた方は、食事の後、お口をゆすぐなどの処置が必要です。そうしないと臭いが残ってしまいます。
また、口の中を冷やすと、一時的には口臭が減る様に思われますが、体温というか口腔温がありますので次第に温度効果はなくなるので、あまり期待出来ないと思います。
口臭は、人により様々な臭いがあります。先ずは、細菌の除去などの、虫歯治療、歯周病治療をしてその後、口臭がどう変化していくのを見極めることが大切です。
それでもなお、口臭が気になる方は、原因として今まで話をしていた口臭の原因ではなく、消化器つまりは体内から臭う口臭もありますが、多くは食事の種類に関連します。これは、歯科の領域でなく、消化器内科に通院する必要もあるかもしれません。
口臭として、かぐわしい口臭があるのも、事実です。
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