皆さん、こんにちは。今日は、多くの方が不安に感じる「歯の神経を抜く」という治療について、詳しくお話ししたいと思います。
「歯の神経を抜かなければならない」と言われて、不安になったことはありませんか？実は、最新の歯科技術を使えば、これまで「神経を抜くしかない」と思われていた症例でも、神経を残せる可能性が高まっているんです。
歯の神経には、とても大切な役割があります：
神経のある歯は、まさに「生きている歯」なんです。でも、神経を抜いてしまうと、歯が乾燥しやすくなり、もろくなって割れやすくなり、虫歯や損傷に気づきにくくなります。
日本歯科保存学会の調査によると、神経を抜いた歯の10年後の生存率は約80%ですが、神経を残した歯は90%以上の生存率を示しています。この差、大きいと思いませんか？
はい、絶対に神経を抜かないといけない場合もあります：
これらの場合、神経を処置しないと次の治療に進めません。でも、心配しないでください。神経を抜く治療は、適切な麻酔を使えばほとんど痛みを感じません。
当院では、MTAという最新の材料を使って、これまで「神経を抜くしかない」と思われていた症例でも、神経を残す治療を行っています。
MTA（Mineral Trioxide Aggregate）は、1990年代にアメリカで開発された歯科材料です。日本で承認されたのは2007年。まだまだ新しい治療法なんです。
MTAの特徴：
この MTA を使うことで、20年、30年後もご自分の歯で元気に過ごせる可能性が格段に高くなるんです！
ここで、実際の治療例をより詳しくご紹介します。43歳の男性会社員、田中さん（仮名）が来院されました。主訴は「右下の奥歯が痛い」というものでした。
田中さんは以前、他の歯科医院で「虫歯が深いので、神経を抜かなければならない」と言われていました。しかし、できれば自分の歯をそのまま残したいという強い希望がありました。
まず、最新のCT技術を使って、歯の状態を3Dで詳細に確認しました。CTの結果、次のことが分かりました：
この診断結果を基に、田中さんと相談の上、MTA治療による神経保存を試みることにしました。
治療は以下の手順で行いました：
治療後、定期的に経過観察を行いました。1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後と、それぞれ検診を行い、レントゲンやCT、電気歯髄診断などで歯の状態を慎重にチェックしました。
6ヶ月後の検診で、歯の状態が完全に安定していることを確認。田中さんの希望もあり、最終的な歯冠修復としてセラミッククラウンを装着しました。
治療から1年後、田中さんは「歯がしみることもなく、普通に噛めています。自分の歯が残せて本当に良かった」と喜んでおられました。さらに、「職場の人にも歯並びが綺麗になったねと言われて嬉しいです」とのことでした。
Q1. 神経保存治療は痛いの？
A1. 適切な麻酔と慎重な処置で、ほとんど痛みはありません。田中さんの例でも、治療中の痛みはほとんどなかったそうです。
Q2. 治療時間はどのくらい？
A2. 基本的な治療は1回で約1〜2時間です。田中さんの場合は、初回の治療に約1時間30分かかりました。その後の経過観察や最終修復で複数回の来院が必要です。
Q3. 誰でも神経保存治療ができるの？
A3. 残念ながら、全ての症例に適用できるわけではありません。適応条件は：
Q4. 保険は使えるの？
A4. MTAを使った治療は、現在保険適用外です。ただ、長期的に見れば歯の寿命が延びるメリットは大きいんです。田中さんも「初期費用は高かったけど、長い目で見ればこの選択で良かった」と話されています。
歯の健康は全身の健康に大きく影響します。最新の研究によると、歯周病は心臓病、糖尿病、認知症などと関連があるそうです。アメリカ心臓協会の報告では、歯周病患者さんは心臓病のリスクが約20%高くなるんだとか。
自然な歯でしっかり噛めることは、消化器系の健康維持にもつながります。さらには、脳の活性化にも良い影響があるんです。
やっぱり一番大切なのは予防です。定期的な歯科検診と適切なオーラルケアで、深刻な虫歯や歯周病を防げます。日本歯科医師会の調査によると、年に2回以上の定期検診を受けている人は、そうでない人に比べて重度の虫歯や歯周病のリスクが約40%も低くなるんです。
歯の健康は、豊かな人生を送るための大切な基盤です。神経保存治療は、その可能性を広げる新しい選択肢の一つです。でも、最も重要なのは日々のケアと定期検診。何か気になることがあれば、早めに相談してくださいね。
当院では、患者さん一人ひとりの状況に合わせて、丁寧に説明し、最適な治療法を一緒に考えていきます。最新の技術と知識を駆使して、皆さまの健康な歯と笑顔を守り続けます。
健康な歯で、美味しく食べて、素敵な笑顔で過ごせる人生。それが私たちの願いです。ぜひ、一緒に歯の健康を守っていきましょう！
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